めありぃ的小説評論空間〜奪取〜
2004年2月7日 小説評論空間
新保祐一 講談社
偽札造り――それは究極のだましゲーム。
新境地を招く、ハイテク犯罪小説傑作長編サスペンス。
第10回山本周五郎賞 受賞。
第50回日本推理作家協会賞長編部門 受賞。
(著者からの内容紹介及び、「BOOK」データベースより)
―あらすじ―
友人の雅人が、暴力団絡みの街金融に嵌められ
借金1260万円を背負ってしまった。
借金を返すべく、雅人と共にある計画を思いつく、道郎。
ATM相手に偽札を作ろうと言うのだ。
計画は成功し、まんまと偽札紙幣と本物をすり替え
莫大な大金を手にした、二人。
しかし。
そんな二人の能力を、暴力団が放って置くワケがない。
二人は、ヤクザ達から逃れている最中
ひょんな事から、ある老人と少女に出会う。
道朗と雅人は、この二人の力を借り
暴力団に復習する為、より完璧な偽札作りを開始する。
老人と共に、偽札を作る道朗は
次第に"本物の偽札"作りに魅了されていくのだが・・・。
『そのお札を使ったところで
誰が被害者になるわけでもないんだ。
俺の手を放れた紙幣は、また次の誰かの手へと伝わっていく。
誰も気づかず、どこにも被害者はいない。
札を造り上げた者だけが勝利者となる。
……おれは決めたぞ、雅人。
この先、何年かかるか分からない。
けど、必ずこのゲームに勝利してやる!』
(今作品より)
―感想―
取材力には、絶対的なポテンシャルを発揮する、新保祐一。
彼が世に送り出した様々な作品の中でも
この作品は、群を抜いてその力を見せ付けられる。
臨場感溢れ、飽きさせないストーリー展開。
読者を惹きつける、巧みな文章力。
何よりも、偽札作りのノウハウがやたら詳しく
"もしかしたら作れるんじゃないか?"
と思わせるほど、ディテールに描かれている。
この作品は、新保作品お馴染みの"小役人シリーズ"ではなく
どちらかと言うと"底辺を生きる人物"が主人公。
それも手伝ってか、主軸の登場人物4人が
犯罪者にもかかわらず、感情移入し易い。
そして何よりも、ラストの締めが憎い。
読み終わった読者は必ず
"なるほどね、これはやられた"と思うに違いない。
偽札作りの過程を描く時に
映像化が多少難しい点もあったが
全体的にテンポ良く、読み出すと止まらない。
洒落っ気のある場面、緊張感ある場面は言わずとも
泣き所もしっかり捉えられてあり
読者の期待を裏切らない仕上がりになっている。
文庫上下巻合わせて約1000ページの長編大作なので
多少敬遠され易いかもしれないが
ソレを苦に感じさせない文章力が新保氏の素晴らしさ。
これはオススメ!!
是非!!
―評価―
★★★★★
偽札造り――それは究極のだましゲーム。
新境地を招く、ハイテク犯罪小説傑作長編サスペンス。
第10回山本周五郎賞 受賞。
第50回日本推理作家協会賞長編部門 受賞。
(著者からの内容紹介及び、「BOOK」データベースより)
―あらすじ―
友人の雅人が、暴力団絡みの街金融に嵌められ
借金1260万円を背負ってしまった。
借金を返すべく、雅人と共にある計画を思いつく、道郎。
ATM相手に偽札を作ろうと言うのだ。
計画は成功し、まんまと偽札紙幣と本物をすり替え
莫大な大金を手にした、二人。
しかし。
そんな二人の能力を、暴力団が放って置くワケがない。
二人は、ヤクザ達から逃れている最中
ひょんな事から、ある老人と少女に出会う。
道朗と雅人は、この二人の力を借り
暴力団に復習する為、より完璧な偽札作りを開始する。
老人と共に、偽札を作る道朗は
次第に"本物の偽札"作りに魅了されていくのだが・・・。
『そのお札を使ったところで
誰が被害者になるわけでもないんだ。
俺の手を放れた紙幣は、また次の誰かの手へと伝わっていく。
誰も気づかず、どこにも被害者はいない。
札を造り上げた者だけが勝利者となる。
……おれは決めたぞ、雅人。
この先、何年かかるか分からない。
けど、必ずこのゲームに勝利してやる!』
(今作品より)
―感想―
取材力には、絶対的なポテンシャルを発揮する、新保祐一。
彼が世に送り出した様々な作品の中でも
この作品は、群を抜いてその力を見せ付けられる。
臨場感溢れ、飽きさせないストーリー展開。
読者を惹きつける、巧みな文章力。
何よりも、偽札作りのノウハウがやたら詳しく
"もしかしたら作れるんじゃないか?"
と思わせるほど、ディテールに描かれている。
この作品は、新保作品お馴染みの"小役人シリーズ"ではなく
どちらかと言うと"底辺を生きる人物"が主人公。
それも手伝ってか、主軸の登場人物4人が
犯罪者にもかかわらず、感情移入し易い。
そして何よりも、ラストの締めが憎い。
読み終わった読者は必ず
"なるほどね、これはやられた"と思うに違いない。
偽札作りの過程を描く時に
映像化が多少難しい点もあったが
全体的にテンポ良く、読み出すと止まらない。
洒落っ気のある場面、緊張感ある場面は言わずとも
泣き所もしっかり捉えられてあり
読者の期待を裏切らない仕上がりになっている。
文庫上下巻合わせて約1000ページの長編大作なので
多少敬遠され易いかもしれないが
ソレを苦に感じさせない文章力が新保氏の素晴らしさ。
これはオススメ!!
是非!!
―評価―
★★★★★
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